今回、大好きな作品の1つであるエクセル・サーガの主人公、エクセルをモデリングしました。エクセル・サーガにはアニメ版(アニメ版の正式名称は『へっぽこ実験アニメーション エクセル♥サーガ』ですが、以降は普通に『エクセル・サーガ』と呼びます)とその原作になるマンガ版がありますが、今回はアニメ版のキャラデザ基準で作りました。
ここでは、その制作に関する裏話をしようと思います。大分長いです。あとそこまで大した話はしてないです(技術的な面においては特に)。
ちなみに、エクセルを作品として掲示しているページはこちらです。
目次
①『エクセル・サーガ』という作品の説明
簡単なあらすじを解説すると「理想推進機関組織『アクロス』が、世界征服の第一歩として『市街征服』を達成すべくF県F市で色々活動し、時には対抗勢力である市街安全保障局と色々やりあったりやりあわなかったりするギャグマンガ」です。
いわゆる「正義の味方ではなく悪役の方に焦点を当てたコメディもの」ってあると思うんですが、それの一種です。
マンガとアニメでは細かい設定や方向性が違ってどちらも面白いんですが、ナベシンことワタナベシンイチが監督をしているアニメ版のギャグと演出はすごいですよ。昔見た時はかなり笑った思い出があります。モデリングの資料にするために改めて見直しましたが、やっぱ今見ても面白いですね。
個人的にはかなりオススメの作品なので皆さんにもぜひ見て欲しいです。万人受けする笑いではないかもしれませんが…。
実を言うと、アニメ版エクセル・サーガやハヤテのごとく!を見てからナベシン監督の作風に憧れを持っているので、いつかはああいうスラップスティック(どたばたギャグ)作品を作ってみたいなと思っています。でもああいうギャグって相当難しい気がしますね。下手したら延々滑るだけの作品が出来上がりそうで…。
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↑アニメの1話。
「下劣にして低俗な漫画を作り出す漫画家を抹殺せよ」という命令を受けたエクセル。最初の標的は六道神士(原作者本人!!)だった…という初回からぶっ飛んだ話。
②MMDモデルへの挑戦
エクセルを作るにあたり、初めて挑戦したことがあります。それは「MMD(MikuMikuDance)で使えるモデルを作る」ことです。だって、自分の好きなキャラに好きな曲を踊らせられるって最高じゃないですか。
思い起こせば、昔もMMDモデルを作るためにBlenderをダウンロードした覚えがあります。それが自分とBlenderの初対面でした。
まあその時は基本操作の時点で分からなくなって投げて、そこから数年は存在すら忘れていましたが。
閑話休題
今回、MMDを作るにあたってこちらのサイトを参考にさせていただきました。
Blenderのバージョンが2.7と少し古めですが、基本的にはそのまま参考にできました。BlenderでのMMDモデルの作り方が細かく書かれているのはとてもありがたかったです。
③モデリング
キャラの形を作る、モデリングに関して。手の部分だけVRoidの素体(CC0)の部分から取ってきています。この時、自分がモデリングした手が全然上手く動かせず、心が折れたのでこういう事をしました。
手のモデリング、どうしても良い感じにならないからVroidの素体(CC0)から手だけ取ってきた
…正直体の全部Vroidの素体を使った方がクオリティ上がると思うけど、それはちょっと悲しくなってくるから何とか自分のモデリング力で頑張りたい#b3d #Blender pic.twitter.com/KINuAtrA8q— 相生 創 (@aioitkr) August 6, 2021
モデリングで一番大変だったのは、後ろ髪のデカい三つ編み部分です。どういう構造でこうなってるのか全然分からず形を作るのに苦労しました。「3DCGでの三つ編みの作り方」みたいなサイトも見ましたが、その方法は結局使わず、最終的にはアニメのワンシーンをガン見してそっくりに作りました。ニコニ立体で見る際にはぜひ後ろ髪に注目してみてください(ニコニコのアカウントがないと見れません、ごめんなさい)。
逆に一番楽しかったのは胸部分のモデリングですね。自分は今まで巨乳系のキャラを全くと言っていいほど作ってこなかったので色々新鮮でした(素体なら作ったことはある)。でも、今回やってみると割と簡単に作れて、しかもキャラの見た目にダイレクトに影響してくるので作ってて楽しかったです。またこういうキャラも作ってみたいですね。
https://twitter.com/aioitkr/status/1425724058528739328
地味に力を入れた部分は鎖骨です。今までこの部分はあまりちゃんと作ってきませんでした(そもそもこの部分が出るキャラ自体をほぼ作った事がない)。今回は輪郭線がちゃんと出るように造形しました。
鎖骨部分にちゃんとした線があるだけで二次元キャラとしての完成度がちょっと上がる気がしますね。上手い絵なら鎖骨部分は大抵描かれているでしょうし。
④テクスチャ
テクスチャの部分では、「影やハイライトの部分も全てテクスチャに描き込む」という初めての事をしましたが、そこまで変にならずに上手くいきました。ちょっと前に描いていた絵の技術を多少は活かせたのでしょうか。
テクスチャに直接影やハイライトを描き込む作業をやっている
ライティングとか考えないならシェーダーで色々やるよりよっぽど手描きっぽく見えるなあ#b3d #Blender pic.twitter.com/nc3SqJrg86— 相生 創 (@aioitkr) August 22, 2021
モデリングとテクスチャの作業で約2週間ほどかかりましたが、この辺りに関しては比較的満足行く結果になりました。
⑤ボーン設定とスキニング(ウェイト)
ボーンを作り、スキニング(ウェイト調整)したりモデルをMMD向けに調整などをしたりしました。この部分が一番つらかったです。
スキニングに関して、私は普段Auto-Rig Proというアドオンを使ってかなり楽をしていたのですが、MMD向けのモデルではこの方法は使えません(多分)。
という訳で、(MMDモデル向けの)ボーンを1から作り、それにBlender標準の自動ウェイト機能を使ってスキニングしていくという、Blenderを始めたばかりの頃やっていた作業を久しぶりにやる訳になったのですが、この作業がまあ面倒くさい。
特にボーン、MMDモデルを踊らせるには、決められたボーン構造とボーン名を設定する必要があります。このボーンを配布している人もいますが、自分は自作しました。まず、そもそもどのボーンが必須ボーンなのかがいまいち分からなくてその辺苦労しました。
あと、ボーンの名前に1個1個日本語の名前を付けていく作業が地味に面倒くさかったですね…。
作業期間自体は11日くらいでしたが、1/3くらいは「面倒くさいなー」と思って作業をしてなかった気がします。
auto rig proを使わないスキニングを久しぶりにやってるけど、この作業は本当に面倒くさいと改めて実感している
— 相生 創 (@aioitkr) August 28, 2021
auto rig proでつけたボーンやウェイトをMMD向けに変換できるアドオンがあったら有料でも買う気がする
— 相生 創 (@aioitkr) August 28, 2021
⑥揺れもの(剛体設定)
ウェイトを設定したら、次はPMXエディタに持って行って髪や服や胸などの揺れる部分を設定します。ちなみに、最初は揺れる部分にボーンを入れてなかったのでBlenderで入れ直しました。
髪に設定をするとすぐにそれっぽく揺れてくれたのは嬉しかったですね。自分は未だにBlender上でまともに揺れものを設定できたことがないので…。
他にも、初期ポーズをちょっと変えるなど調整を色々して、ついにモデルが完成しました。
⑦完成!
いよいよMMD上でモデルを踊らせます。
と言っても、実はウェイトを確認するためにBlender上で何回も踊らせているので「ついに自分のモデルが動くぞ…!」みたいな感動はあんまりなかったりします。
さて、このブログをここまで読んでくださった皆様に、特別にエクセルに極楽浄土を踊らせた映像をお見せします。ニコニコ動画やTwitterでも公開していない、ここだけの限定公開です。
では、どうぞ。
カメラ・表情:ゆきねこ
さて、この動画をご覧になってどう思ったでしょうか。
個人的には、ポリゴンの破綻や上着の揺れ方、膝関節が変な方向に曲がるなどのネガティブな面がどうしても目について、あんまり褒められた出来ではないなあと思ってしまいます。
3DCGを全く知らない頃の自分にこのモデルを見せたらきっと「すごい!」と思ったのでしょうが、自分が作ったものだと、どうしても他人が作ったものを見る時より目線が厳しくなってしまいますね…。
色々発見もあった制作でしたが、MMDモデルを作るのはとりあえずこれで一旦終わりです。やっぱり自分は、Blenderで作ったものをBlender上で動かすのが性に合っているなと思います。また気が向いたらやるかもしれませんが。
以上、エクセル制作裏話でした。
自分以外の人にも作ってほしいですね、エクセルのMMDモデル…。
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